わが茶の秘密

 昨年ごろから、お客さんがお茶を飲むと、「こんな甘い茶を飲んだことはないがどこのお茶ですか」と尋ねられることがよくあった。

 

 自家製ですと笑いながらいっていたが、お世辞にしては言いすぎだと想いながら特に気にもかけなかった。

 

 ところが炒り手が今年の茶は失敗だったというので、クズ茶を飲んでみると、雑味がなく、香りもあり、すっきりと喉越しがいいだけでなく、甘いのです。

 連れに気落ちをさせないつもりで言ったのでなく、本心からそう感じ何杯もおかわりをするようになると、連れも納得がいったようで、狐につかれたみたいに美味しいねというようになった。

 

 トイレをしながら、「そうだ、そうだったのか」と思い当たることがあった。

 今年久しぶりに茶摘みをしたが、一芯ニ葉の茶葉を摘んでいたのだ。

 

 そうです。蒸し茶であれば玉露茶と同じ贅沢な摘み方です。

 わが茶は、渋みがなく、釜香でさわやか、のどごしのよさ、甘さが備わった名茶になったのかもしれないと思ったのです。

 

 炒り手は出来上がりの色に不満を持っているが、宮田さんから貴重な意見も聞き、創意工夫すべき点は多々あり、炒り方、揉み方、薪の種類もわかり、来年はさらなる工夫を重ねることが楽しみとなった。

 

 機械摘みでは味わえない贅沢なお茶こそ、自家製釜炒り茶の奥深さではないでしょうか。