蔵人米の炊きあがり

 初めて蔵人米を炊いて味あうときほどドキドキすることはない。

 

 天候に恵まれ、8月は毎日雷がなり、ミネラルを含んだ栄養分が天から降りそそぎ、日照も十分受け、黄金色に実った豊作であったので、味に自信はあった。

 

 炊きあがり、炊飯器の蓋を取ったときの香りは、

 草いきの中にいるような素朴な香りがたち

 

 釜から笊に上げると、甘ずっぱいやさしい香りに包まれ

 冷えてくるにつれて落ちついた上品な香りとなった。

 

 光沢があり、

 粘りがありながら、口にまとわりつかない、サラリとした感触

 こんな味あいはわが家にはなかった。

 

 一瞬、天皇の料理番の料理に出されたフランス料理のライスを思い出した。

 田舎の香りをどこか感じながら都会風なハイカラな味です。

 

 イネたちは大地からは一切の肥料も与えられないが、自分たちの原点にもどり、余分な贅肉を全て削ぎ落とし、天然のミネラルの栄養分たっぷりのコメになったのです。